ストーリーブランディングの模範となる
『奇跡のリンゴ』の
ストーリーをご存知でしょうか?
これは絶対に不可能と言われた「無農薬リンゴの栽培」に成功した青森のリンゴ農家・木村秋則氏の実話です。
リンゴ農家の“ストーリー”
物語は、木村氏がサラリーマンをやめて、妻の美栄子とともにリンゴ栽培を始めるところからはじまります。
リンゴ栽培にいそしむ木村氏は、ある時、愛する妻の身体がリンゴの農薬に蝕まれていることを知ります。
リンゴ栽培では、年に十数回も農薬を散布しなければなりません。
妻は散布の度に体調を崩し、1ヶ月ほど寝込むこともありました。
リンゴ農家の義父はこれもリンゴ農家の運命だと諦めていましたが、木村氏は違いました。
当時、絶対に不可能といわれた「無農薬のリンゴ栽培」への挑戦を決意します。
悪戦苦闘の日々
そして5年もの間、試行錯誤を繰り返しました。
しかし、その努力もむなしくリンゴの樹は病気にかかり、リンゴ畑には害虫がうじゃうじゃ群がっていました。
被害は周りにも広がり、隣の畑からも苦情が来るようになりました。
無収穫の時期が長く続き、さらに状況は悪化します。
収入はゼロで、車やバイクも売り払い、2時間歩いて畑に通う生活を送るようになりました。
実家の父に借金をお願いしますが、無農薬栽培を諦めろと言われます。
税金の滞納分として農園の半分も差し押さえられてしまいます。
周りの農家からも見放され、周囲も孤立します。
精神的にも追い込まれた木村氏は家族への愛を綴った日記を遺し、とうとう自殺を決意します。
そして……
首吊り用のロープを持って、死に場所を求めて踏み入った山の中…
そこで木村氏は、奇跡の出逢いを経験します。
そこにあったのは、1本のクルミの樹でした。
誰も手をつけていないはずのクルミの樹は、全く害虫がついておらず、しっかりと成長していました。
それは、無農薬化の重要なヒントでした。
絶望の淵で、木村氏は希望を取り戻します。そして再び実験を繰り返し、約10年かけてとうとう念願の無農薬リンゴの栽培に成功しました。
こうして生まれた木村氏のリンゴには、「無農薬」以上に人を惹きつける強力な魅力が備わっていました。
その魅力とは、、、
問い合わせ殺到!“ストーリー”の宣伝力
この『奇跡のリンゴ』の話は徐々に広がり「木村さんのリンゴを食べてみたい」と多くの人々が彼のもとを訪ねました。
その後も多くの問い合わせが殺到し、いまや入手困難とまでいわれる貴重なリンゴとなっています。
「ストーリー」は、「無農薬」という独自の強みを超え、多くの人を魅了しました。
人間はストーリーに惹き込まれる生き物です。
多くの葛藤や障害を乗り越え、目的を達成するストーリーは人の心の琴線に触れ、共感を呼ぶ力があります。
このストーリーの力をビジネスに取り入れ、商品やサービスが売れるようにする手法を、
「ストーリーブランディング」といいます。
良いストーリーは、多くの共感を生み、人の記憶に残り、他の人に拡散されます。
また、広告・宣伝には見えにくいので、「警戒されずに」読まれやすいのも大きな特長です。
ストーリーは魅力的な「UVP」になる
あなたの商品・サービスに「独自の強み」はありますか?
会社・商品・サービスで人を惹きつけるためには、競合にはない魅力的な「強み」が必要だといわれます。
しかし、物や情報が溢れているこの時代、独自の強みを見つけて宣伝するのは極めて難しいのが現実です。
そんな時代でも、容易に魅力的な「強み」を作り出す手段が1つあります。
それが「ストーリー」です。
奇跡のリンゴのストーリーは魅力的な「強み」を商品に与えています。
この強みとは、価格・品質などの「製品のUSP(独自の売り)」ではありません。
見込み客とブランドを結びつける「UVP:独自の価値提案」を意味します。
どの会社も、オリジナルのストーリーを持っているはずです。
自社の創業エピソード、
商品・サービス開発エピソード、
社名や商品名にまつわるエピソード、
お客様との関わり合いのエピソードなどなど…
そして、その会社にしかないストーリーは『奇跡のリンゴ』の物語のように、会社に唯一無二の魅力を与えることが可能です。
相性抜群!「マンガ」と「ストーリーブランディング」
創業エピソードや商品・サービス開発エピソードを中心に、ストーリーを活用したブランド戦略は効果的です。
しかし、あくまでもそれは「ストーリーが読まれること」が前提となります。
活字だけで、何万文字にもおよぶストーリーを最後まで飽きずに読ませるのは容易ではありません。
どんなに素晴らしい物語であっても、構成やレイアウトが悪く、文字数が多すぎると読者に興味を持ってもらうのは難しいでしょう。
「どうすれば読者に“読みやすい”と思ってもらえて、うまく“惹き込ませ”られるんだろう…?」
このような悩みを持った時は、マンガが特に効果的です。
ストーリーを活字で表現することに対し、マンガで表現するということは、より人の感性に視覚的に訴えることができます。
活字だけではとっつきにくいものであっても、絵が入ることでグッと人の興味を惹くことができます。
さらに、主人公の感情移入がしやすい「疑似体験効果」を読者に与え、「共感」を起こすことができます。
「読んでもらえるストーリーブランディングを活用したい!」
そう思った時は、マンガの活用を検討してみてはいかがでしょうか。