「伝える」ための動画・漫画の使いわけを考える~パート1~

 

「伝え方」は、とっても大事……

そんなことはビジネスパーソンなら誰もが知っていること。でも、大事だとわかっていながら、なかなかそのスキルアップは難しいものです。

 

自分ではきちんと伝えたつもりでも、実際には相手に自分の意図通りに伝わってはいなかった……そんな経験、一度や二度ではすまないのではないでしょうか。

 

相手にメッセージを伝える際、言葉だけで伝えるよりも、ビジュアル要素も含めて伝えると、より伝わりやすくなります。
言葉だけを聞いて理解するのは、けっこうたいへんなもの。
そこにビジュアルが加わるだけで、とたんに理解が早く、しかも深くなります。

 

ひとくちに「ビジュアル」といっても、その方法はさまざま。
今回は「動画とマンガ」についてお話しします。

 

当然ながら単なるテキストの羅列よりも、動きのある動画や漫画の方が相手には伝わりやすいのです。
でも、漫画と動画のだったら、どちらを使った方がいいのかと考えると、なかなか判断が難しいですよね。
まずは、動画と漫画のそれぞれの特徴を表に纏めてみました。

 

  動画 漫画
発見性

◎動きと音の効果で目を振り向かせやすい。
(自動再生の場合)

×再生をクリックする必要がある場合は、動きがないので弱い

◎1枚の中に動きが展開されているので、動画と同じように目を引き付ける

◎紙からWebサイトまで、幅広い場所で見ることができる

手軽さ

×見たい箇所をピンポイントで確認するのに向いていない(時間がかかる)

◎マンガだから手軽に読める。◎目次があれば見たい箇所もすぐに確認できる。

分かりやすさ

◎視覚・聴覚に訴えることが出来る。


◎細かい人の動作を確認できる
(料理・DIYなど)

◎現実的な世界の制限がないため、「分かりやすい例え」を柔軟に作れる

×細かい人の動作には適さない。

疑似体験効果

◎リアルな人間、物、背景を使用できる。
×ストーリー性が重要な場合、役者のスキルが問われてしまう。

◎役者不要で、ストーリーを描ける。
×漫画が好みのタッチでなければ感情移入しづらい。

 

 

料理の作り方など「手順」を説明するには動画が一番


それでは、伝わり方がどう違うのか実例を挙げて見ていきましょう。
例えば、オムライスの作り方。マンガにすると、こんな感じになります。

 

 

ある程度「料理をしたことがある人」は、マンガの表現でも“分かる”かもしれません。しかし、料理初心者にとってはこれだけの情報では“分かりにくい”と感じるでしょう。

 

動画であれば、フライパンの使い方やこまかな手順などの実際の動きを見ることができます。マンガは精密に描くという点は動画に敵いませんし、あくまでも静止画なので動きは出せません。コマ数を増やして細かく見せることは可能ですが、ならば動画の方が早いと言えます。

 

 

作業手順など、細かい動きを流れを覚えるのは、マンガより動画の方が優れています。リアルなものを見た方が分かりやすいという点では、「商品」も該当しますね。

 

掃除機の吸引力や、ファッションアイテムなどは、実演してもらったりモデルに身に付けてもらったりした方がイメージが湧きやすいものです。

 

「興味を持ってもらう」ことが目的ならマンガを


 

ある程度専門知識が必要なもの、例えばPC周辺機器やITインフラ、保険などは、文字情報だけでは、相手も理解するのが難しいものです。
これらは、動画を使ったとしても、情報をうまく伝える・正しく理解するのが難しい。

 

筆者もIT関係の情報を集めようとして、ストレージを分解する動画や、PCの部品を並べて違いを説明した動画を見て「…いったい何が違うんだ?」と思いました。写真や動画だと、素人目には全部同じに見えるんです。

 

このような、前提知識がないと理解の一歩目も踏み出せないようなケースでは、まず興味を持ってもらうことから始めた方がよいでしょう。
それにはマンガで「このサービスを使ったら、こんないいことがあるよ!」とベネフィットを伝えるのが効果的。

 

また、商品・サービスを説明する際にも、マンガでは様々な“比喩表現”が使えます。PCを擬人化したり、回想シーンを入れたりなど、「わかりやすい例え」を用いることで、理解の促進につながります。非現実的な世界も、マンガなら表現可能なので、トコトンわかりやすさを突き詰めることが出来ます。

 

*日本赤十字社「ぞうけつおかん」より抜粋

 

「物語」を表現するにはマンガが最適


 

動画とマンガの共通点は「物語を作れること」。


物語の流れは、次のようなものです。
(1)消費者が困っていたり、悩みを抱えていたりする状況を示す
(2)困難や悩みを克服・回避できる解決策を登場させる
(3)解決できた消費者が喜んでいる様子を描く
この流れでビジュアル表現を用いて情報を伝えると、物語としてユーザーの記憶に深く刻み込まれます。

 

ただし、動画で物語を伝えようとすると、役者の演技力に伝達の度合いが大きく左右されるのです。

 

お芝居がぎごちなかったり、映像がチープだったりすると、見ている方も内容に集中できません。

 

とはいえ、プロの役者に出演してもらい、制作会社にお願いするとなると、多大なコストがかかってしまいます。

 

その点、マンガであれば、動画よりも小さなコストで制作することが可能です。
マンガという表現手段は、そもそも感情に訴える力が強いもの。マンガで物語を表現すれば、感情表現豊かな演出も、読者をあっと驚かせる表現も可能です。

※警察庁「STOP!自画撮り被害!」より抜粋